地下深くにライフラインを収容した「共同溝」とは?
日常では見ることも聞くこともない謎フレーズ「共同溝(きょうどうこう)」
共同溝とは文字通り共同の溝で通信・電気・ガス・上水道・下水道などのライフラインをトンネルのような地下空間に共同で収納してある溝(トンネル)です。
通信・電気・ガス・水道といった身近なライフラインを収納しているのに見かけることがない理由は…。
共同溝は地下にあるから!
日の当たらない地下深く、日常の舞台裏で当たり前の暮らしを支えてくれているのが共同溝です。
共同溝はなぜ地下にあるのか?
インフラの防災
共同溝が地下にある理由のひとつが地下に防災のため。
地震など自然災害が発生しても地下にあることで倒壊・焼失などの被害からライフラインを守ります。
日常生活の保全
メンテナンスもできる共同溝を地下に施設することで、道路の掘り返し工事の防止、工事渋滞の軽減、環境の保全になります。
と、いわれても見たこと無いし!
そんな謎の地下施設「共同溝」について報告します。
これが共同溝だッ!!
なんだか神秘的な空間が広がっています。これが共同溝!
まだ工事中でライフラインを布設していないトンネル状態の共同溝です。
ちなみのこの共同溝が埋まっているある場所は…。日比谷!!
日比谷共同溝は、皇居の近くで首都東京のど真ん中。国道1号線の地下にドエライ構造物が埋まっています。
今では車で通っても付近を歩いても地下にトンネルがあることにまったく気がつきません。
東京ジオサイトプロジェクトの一般公開で見学したときに撮影した写真です。
共同溝の種類
幹線共同溝
インフラ施設(電気・ガス・水道・下水)の幹線をまとめて収納する共同溝で主に国道の地下に設置されている。街と街を結ぶライフラインで共同溝の径はメンテナンスが行えるほど大きく工事現場の見学会が開催される。
供給管共同溝
オフィスや宅地などに沿道の施設に電気・ガス・水道・電話などが収容された管をまとめている共同溝で地上で工事をすることなく供給できる。主に歩道の地下に設置されています。
電線共同溝
電気・電話といった電線だけを歩道の下に収容しているコンパクトな共同溝
電柱と電線を地下化することで災害に強く、景観のいい街並みになります。
共同溝のレパートリー
通信の共同溝
電力の共同溝
ガスの共同溝
浄水の共同溝
下水の共同溝
いつでもみれる共同溝
共同溝は、幹線道路などの地下深くに建設されます。いつの間にか家の下が共同溝になっていた!!ということはないので安心。
地下にあるのでグーグルマップでは探せない知るひとぞ知る施設なのです。
共同溝の中には、いつもでみれる共同溝もあります。
東京のど真ん中、日本橋と銀座に地下に施設されている共同溝を見学できる窓あります。
近くを通ったときは覗いてみましょう。
共同溝パンフレットから情報を紹介します。
日本橋共同溝
日本橋共同溝は、地下鉄銀座線日本橋駅のB1出口付近。国道1号線の日本橋室町3丁目から京橋3丁目の歩道の下に整備されています。

出典:共同溝パンフレット

日本橋共同溝の説明パネル
銀座共同溝
共同溝をチラ見できるポイントが銀座にあります。
東京メトロ・銀座駅の改札口を出てA12出口付近、松屋銀座の地下入口の手前に小窓があって覗き込むと現役で運用している共同溝をみることができます。
パネルにある松屋の言葉が響きます。
銀座共同溝は1968年(昭和43年)10月、銀座通りの一丁目から八丁目までの両側歩道の下に旧建設省(現国土交通省)の施工によって完成しました
長さは両側合わせて2キロメートルあります。
この中には銀座通りのデパートや店舗に必要な電気、電話、ガス、水道、下水道などの管路が収容されています。
この共同溝の完成によって道路が再び掘り返されることがなくなり、それぞれの管路は安全に保護され、維持管理も容易に行われるとともに
地下から直接各需要者に供給することができます。
さらにこの共同溝の工事とあわせて行われた銀座通り改修工事によって街路灯や街路樹が新しく生まれ変わり、恒久的な御影石の歩道の上をいつまでも
安心して歩くことができるようになりました。
このように共同溝は近代都市における道路の効率的な利用はかるうえできわめて重要な施設といえましょう。
株式会社 松屋

出典:共同溝パンフレット
共同溝の作り方
中小規模の共同溝は開削工事で施工されますが大径の場合はシールドマシンという地底掘削専用の機械を使います。
ドリルでガリガリ掘り進んで地下空間を作っていきます。共同溝が丸型なのはシールドマシーンの形なのです。
シールドマシーンは共同溝だけでなく東京湾アクアラインや首都高山手トンネル、地下放水路など巨大な地下施設の建設にも使われているスゴ技のマシンなのです。
一般公開で見学した共同溝
共同溝を見学できるチャンスは工事中だけ!
運用開始されてからは保安上の問題でほぼ見ることはできない難度の高いおとなの社会見学です。
参加した共同溝見学会のブログ記事
まとめ
共同溝(キョードーコー)という地味なネーミングと字面からは想像つかないインパクト。
近代都市の快適な生活やもしもの災害に備えた重要なインフラ施設、共同溝を作ったのは人の力。
日の当たらない地下の現場で日々、インフラを整備しているすべての作業員に感謝したい。
ご安全に!