大森蒲田共同溝工事・再発進前のシールドマシンを調整中を現場見学

大森蒲田共同溝で再発進前のシールドマシンを見学

大森蒲田共同溝の現場見学ができるみたい。しかも、

「シールドマシンを一度解体してから再度組み立て掘削する。」

らしい。一度掘削したあとに逆方向にも掘るために発進立坑で再度、組み立てる工法。ちょうど今、組み立てている真っ最中で月末になると組上がった状態のシールドマシンを見学ができるようだ。幸運なことに初めてシールドマシンの顔を見れることになった。

親切丁寧な応対に恐縮

大森蒲田共同溝の施設見学は、希望日時を伝えると現場の工事状況に支障がなければ見学可能となる。 今回はシールドマシンをみるために現場に合わせて見学させてもらった感じ。

これも現場見学を担当してくれる戸田・大日本特定建設工事JVの伊澤さんが親切に応対してくれたおかげ。とてもうれしい。

工事現場は,京浜急行『梅屋敷駅』からすぐの場所。大田区体育館のそばに梅の木が描かれた防音ハウスの中にある発進立坑が見学場所になる。

見学場所にいくと防音ハウスの前に工事関係者がヘルメットを持って立っている…。 え?え?もしやお出迎え?丁寧な挨拶に恐縮しまくり。

まずは事務所に案内されて工事の概要を伺った。

大森蒲田共同溝工事の説明と東京の共同溝整備について説明を受ける。 思っていたより共同溝の歴史は古くて現在70%近くは整備済らしい。

実際に使用されるのはまだまだ先のようだけど災害に強い街作りは確実に進んでいるようだ。

いざ地下へ

現場を案内してくれるのは,JVの伊澤さんと高橋さん。

現場で一際目立っている真っ赤なエレベーターに案内されて発進立坑の底へ。 高いところダイジョブですか?と尋ねられてダイジョブと答えてみたけど実は得意ではない。 不安を隠しつつガタゴト揺られながら深さ23mの底に到着。 このエレベーターは3人乗りというが結構狭い。

はじめてのシールドマシン

地下に着くと白いドカン(巨大)が転がってた。
「これがシールドマシンです。」 突然すぎてなにかのドカンにしか思わなかった。

一度、掘削をして傷だらけのボディにペンキを塗って化粧直しをしたシールドマシンは再出発に向けて組み立て中。 完成まであとすこし。あと一週間くらいで蒲田4丁目に向けて再発進するそうだ。調整中のシールドマシン

カッターフェースが見える場所に連れて行ってもらう。
いつか見たかったシールドマシンの顔がそこにあった。 初めてみたカッターフェースはひと仕事を終えた面構え。すでに大森5丁目までの削岩しているからカッタービット磨り減ったが土圧との過酷な戦いを垣間見せる。

シールドマシンのカッターフェイス

カッターフェース

シールドマシンを曲げるには?

地下はこんな光景が続いていて奥の方を見ると緩やかにカーブしている。

前から不思議だったことを質問してみた。シールドマシンはどうやって曲げるのだろう?

どう見ても曲がるとは思えないのだ。

シールドマシンを曲げる方法

  1. ジャッキ圧を変えて曲がる
    片側だけジャッキを押すとその反対方向に曲がっていく。
  2. 片側だけ削る
    コピーカッターといわれるカッターで半円だけ掘削させて空洞が出来た方へ曲がっていく方法。

フルオートマチックを想像していたけど意外とアナログ的な制御。 それだけにシールド職人の経験が頼りになるそうだ。やはりデジタルな時代でもやはり人が一番ということ。

シールドマシン御一行様

シールドマシンは、先頭のカッターフェイスがクローズアップされることが多いけど陰じゃなくて後ろから支える多くの仲間たちがいる。

たくさんの仲間達はそれぞれ掘り進むために必要な役割をしっかりこなしている。 しんがりをつとめているのがスラリーストップバルブ台車。この台車の役目はトンネルが延びたときにシールドマシンでひつような水の配管を繋げること。

そのほかにはホースリール台車,計装ケーブル台車,高圧ケーブル台車とケーブル台車のチームがシールドマシンを後方支援。

スラリーストップバルブ台車

スラリーストップバルブ台車

トランス台車は、なんと6.6kvの電圧を牽いているそうだ。

これを400Vに変圧してシールドマシンへ送っている。 6.6kvといえば工場が使うくらいの電圧。こんなに高電圧なのはシールドマシンがトンネルを掘削して距離が伸びると電圧が届きにくくなる。 その為に高い電圧が必要になるのだ。

セグメントの組み方

大森蒲田共同溝で使っていたセグメントはSA,SB,SKと刻印が打たれていた。 この3種類がリングになってシールドトンネルを形成していく。

リングも工夫されてきてSKと刻印されたセグメントはリングの上に のっかって脱落を防止するセグメント。 昔は落下事故もあったそうだけど日々改良して安全性を高めている。 日本のトンネル掘削技術は世界一といわれるのもこれら現場の人々の努力のおかげだと思う。

SAセグメント

SAセグメント

地震を吸収する可とうセグメント

ちょっと違うつなぎ目はのセグメントは「可とうセグメント」

地震のゆれをゴムの弾力性で吸収してシールドトンネルが壊れるのを守る特別なセグメントで地震の多い日本にはかかせない仕組み。

大森蒲田共同溝ではセグメントを機械が運び最後は人の手で据え付けてナットを締める。 東京湾横断トンネルなど径が大きいと人の力ではとても締められないからフルオートマチックになる。 そうなるとマシンというよりファクトリーみたいな雰囲気だそうだ。

可とうセグメント

可とうセグメント

シールドトンネルの頭脳

運転室。正面にモニタが1つといろんなノッチがついていた。

パソコンはシールドマシンを動かすソフトを作るローダーといわれるもの。 シーケンサと繋げて調整中のようだ。ローダーの画面に見覚えがあると思ったら三菱製のMELSEC。ラダー回路で動いているシールドマシンに親近感を持ちました。シールドマシンの運転室

削岩した石を粉々にクラッシュ

シールドトンネルを掘る前には地層の調査がみっちり必要。

地層が硬いのか柔らかいのか?土質は砂・岩・粘土などいろんなことを調べ上げる。 これらのデータをもとにビット(歯)の種類やシールドマシンのタイプを検討して設計が行われるそうです。シールド工法では掘る前の調査がとても重要です。

写真はクラッシャーと呼ばれる石を砕くマシン。
始めはなかったそうだが削岩したとこ大きめの石が出てきて砕くために急遽追加したということだ。想定外のこともアイディアでリカバリー。

ただいま調整中のシールドマシン

組み立て最終段階のシールドマシン。

今回の見学はこのように調整真っ最中にお邪魔しました。お忙しいところ快く見学させてもらって感謝です。 撮影にも気を使ってもらって恐縮。おかげでいい写真が撮れました。

鉄骨で囲まれた立抗

立抗に戻ってくるとすごく雨が降っていた。

地下現場だと天気は関係なさそうだけど実はバシャバシャ地上から水が落ちてきて影響はありそうでした…。雨の合間に地下から見上げた写真がこちら。鉄筋の井戸の中にいる気分に浸れる鉄骨で囲まれた立抗

地上管制室

地下見学を終えてエレベータで地上へ。
こちらは地上の管制室で普段はここから遠隔操作を行っている。設置されているモニタでシールドマシンの挙動が逐一分かるようになっていた。

キーボードがないことからマウス・クリックで制御できるみたい。

シールドマシンの地上管制室

モニタにはいろんな計測値が表示されていた。この数値のひとつひとつを見るだけで先の見えない地下をガンガン掘り進んでいるなんてスゴイと思った。

モニタに映る計測値

見学を終えて

いつもの見学会では、現場で働く人たちの本音話を聞けないことが多いんだけど、今回は貸切だったこともあり色々と興味深い話の数々を聞くことが出来た。

どれだけ安全に注意して働いているか、周囲の環境に配慮しているか、この仕事に誇りを持っているかなど地下で働く男達の心意気を感じた。

「誰かひとりのためでも、その道を作った意味がある。」

と聞いた言葉が印象に残りました。

インフラの整備は、地上で工事すれば工事は楽だしコストも安くなる。 反面、道路はもっと渋滞して環境は悪影響。災害のときに電信柱が倒れてライフラインは遮断される。

災害に備えて、未来のインフラ整備のために地下深くで働いている男達がいる。

じっくりと見学と話を聞かせていただいた戸田・大日本特定建設工事JVの伊澤さん、高橋さんに感謝です。

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