日比谷共同溝・地図に載らない地底の道を見学
東京ジオサイトプロジェクトの最終章として日比谷共同溝の工事現場が一般公開されました。
日比谷共同溝とは日比谷~桜田門~虎ノ門を結ぶ地下トンネル。国道1号線の地下に災害からライフラインを守るために掘削された1.5kmに及ぶトンネルで施工したのは前田・熊谷JVで事業者は東京国道事務所。
日常の舞台裏にある地図に載らない未来の東京の姿、首都の地底にある日比谷共同溝を写真満載で調査報告します。
地下空間への入口
ここが地下への入口。まったくフツウの工事現場。
現場の横には国道1号線で車がバンバン通っているし、周りには皇居や帝国劇場もある日常の風景。地下30mという非日常的な空間との接点が意外と身近なところにあったことに驚く。
狭い階段を下りていくと一面に地下空間が広がった。
ここから左に見える鉄筋エレベーターで下に降りていく。下に見える粒は人!意外と深くて高所恐怖症でいきなりコワイ。
首都の地底30mの世界
高所恐怖症は躊躇するようなエレベーターに詰め込まれガタガタと揺れながら地下30mに到着。見上げると運んでくれたエレベーターと太陽の光が遥か上に見える。
ここは日比谷立抗で虎ノ門から発進したシールドマシンの終着点である。
日比谷共同溝・トンネルウォーク、発進!
いよいよトンネルウォークの開始。
日比谷立抗〜桜田門立抗〜虎ノ門までの約1. 4kmを歩く。つまり日比谷共同溝を全部歩けちゃう!
あちこちでは地底の達人(地下学芸員の方々)が共同溝を丁寧に説明してくれる。彼らのトークは共同溝に対する熱意を感じる。
歩き出だしてすぐにバイオ式消滅型トイレ「青空」があった。空の見えない地底に相応しいネーミング。
地下工事ではトイレの処理も大変なのですべてを分解してくれる消滅型が最適。
壁面のRとは?
壁面の所々にR記号がある。
地底の達人に訪ねると「リング(壁)のR。虎ノ門立抗からの距離を示す単位」と即答。なるほどー。ちなみにここは虎ノ門立抗から1250個目のR(リング)と快く教えてくれた。
地下の巨大通路は延々と続く


セグメントに沿ってる管は給水管、バキューム管、連結送水管などシールドマシンが掘削するためにひつような配管。
共同溝の真上は官庁舎群
ここの真上は祝田橋交差点。
共同溝は官庁や国道の下を掘削しているそうだ。地下といっても民家の下を掘るのはマズイそうだ。
共同溝の途中には構内電話・避難用具が設置されている。
普段は、危険な工事現場であることに気がつかされる。工事中の現場で見学会をする大変な苦労があったと思う。関係者の方々に感謝したい。ご安全に!
緩やかにカーブ
共同溝が緩やかにカーブを始めた。
このカーブはシールドマシンのアタマ半分をちょっとずつ曲げて掘り進んだそう。先は見えないし、GPSも使えない地中で抜群の精度で掘り進むシールドマシンすげー。
ここが桜田門立抗
カーブの先は桜田門立抗。
天井を見上げると久々に見る太陽の光が漏れていて地下の深さを実感。ちょっとした「井の中の蛙気分」を味わえる。
桜田門立抗の昇降口にはエレベータはなく階段のみ。
ここから地上まで約 30m…。現場仕事は体力勝負である。
ここではセグメントの説明。ご覧の通りの大盛況。地上からどうやって運び,壁に埋め込むまでを詳しく教えてくれた。最後の埋め込みは人の経験とカンだそう。まさしく地下の達人である。
ビデオ説明
途中に共同溝説明ビデオが流れていた。写真は日比谷から虎ノ門まで続いている様子を写したもの。
シールドマシンの説明や共同溝の役割など面白そうな内容で Youtube にしてほしい。
バッテリー機関車 ピカチュウ号
日比谷共同溝にはピカチュウがいるとリサーチしていたがついに発見!
ピカチュウは地底を走るバッテリー機関車でセグメントを載せて時速 8kmでゆっくりと進む。
虎ノ門ステーションと切羽(シールドマシンの先頭)をつなぐピカチュウ1号と底盤から仮置き場までをつなぐもピカチュウ2号が活躍。
VIPが乗車できる8人乗りの客車も用意されていた。
虎ノ門ステーション
虎ノ門立坑はステーションで客車乗場があった。
ベンチもある本格的な地下ステーション。
都心の地下に約 1.5kmの共同溝をつくるという類を見ない事業だし、官公庁も近いので視察も多かったみたい。
虎ノ門立坑
これがひとつめのセグメント、リング 1R
シールドマシンは虎ノ門発進立坑から始動して日比谷まで掘り進んだのだ。ご苦労様でした。
虎ノ門立抗
虎ノ門立抗から地上を見上げてみた。太陽の光がまぶしい!
トンネルを通ってきて思ったことは「土木のチカラはすげぇ」っと。SFの世界を超越しているリアルが首都の地底にあったのだ。
日比谷共同溝のウォーキングもここまで。女性の地底人にナビゲートされて地上に向かいます。
シールドマシンの設計図
興味深かったシールドマシンの設計図。壁紙に良さそう!
もうひとつの共同溝「麻布共同溝」
麻布共同溝はすでに施工してある共同溝で三田立坑〜虎ノ門立坑の区間をシールド工法で掘削済み。
- 麻布共同溝 I期 L=965.4m
三田立坑(発進立坑)〜 麻布立坑〜赤羽橋交差点(到着立坑) - 麻布共同溝 Ⅱ期 L=1814.8m
赤羽橋交差点(発進立坑)〜飯倉交差点(中間立坑)〜虎ノ門立坑(到着立坑)
麻布共同溝は奥に立っている地底人の先にある飯倉立坑(麻布方面)へ延びています。ゴォーッと音が聞こえた。 地下鉄の音なのかな。壁面はジオサイトプロジェクトを紹介しているホームページや麻布共同溝についてのギャラリー。
すでに完成した麻布共同溝の大きさは直径約 7mで電気・水道・電話のライフラインを通す予定。
麻布共同構内はセパレートされていて水道管が通っていました。(まだ未使用)
さらば日比谷共同溝
最後に三段かまち梁から共同溝をパシャリ。
みんなか撮影するフォトジェニックなポイント
エレベーターに乗って路下につくと現場事務所が。
地下を後にする最後に,地底人からお礼のメッセージパネルがありました。 お礼を言うのはこちらのほう。貴重な体験をどうもありがとう。
地底人に伝える地底現場応援ボードにはメッセージがたくさん。
みんな驚きと感動に溢れるコメント。
日の光がまぶしい。
日の射し込まない地下で人知れず東京の未来のために働いているヒーローたちのチッキ板があった 見せてくれてありがとう。とても感動しました。
あっという間のトンネルウォークと思っていたら3時間近く潜伏していたようだ…。
このプレパブハウスが地下からの出口。地下の空間につながっているとは到底思えない代物です。
いつもの風景
フェンスで囲まれた工事現場を一歩外に出ると当たり前だけど日常の風景。
日常の舞台裏は工事のフェンスの向こう側に広がっていた。
横断歩道を渡って振り返るとさっきまで歩いていた東京の未来は周りと違和感なかった。 未来とは案外、あちこちで繋がっているのかも知れないと思った。
日比谷共同溝と麻布共同溝の断面図
フェンスに日比谷共同溝と麻布共同溝の断面図がありました。
麻布・日比谷共同溝のパンフレット
現場でもらうパンフレット。おとなの社会見学好きのコレクションです。
日比谷共同溝の現場見学でもらったいくつかのパンフレットを紹介します。
現場でもらった一般国道1号 日比谷共同溝工事のパンフレット。
表紙のシールドマシンが日比谷共同溝 1.4km を掘削しました。
パンフレットには日比谷共同溝の立坑や泥水式シールドマシンの構造図や工事の内容が詳細に書かれてます。
こちらは麻布・日比谷共同溝のパンフレット
三田立坑〜 麻布立坑〜赤羽橋交差点〜飯倉交差点〜虎ノ門立坑〜日比谷立坑の通り道が丸わかり。三田から日比谷までの国道1号線の地下はすべて共同溝があのが判ります。
いつでもみれる共同溝
共同溝は地下に施設されている共同溝を見学できる窓が日本橋と銀座にあります。
近くを通ったときは覗いてみましょう。
共同溝パンフレットから情報を紹介します。
日本橋共同溝
地下鉄銀座線日本橋駅のB1出口付近
銀座共同溝
地下鉄銀座線銀座駅のA12出口付近