世界最速のスーパーコンピューター「地球シミュレーター」を一般公開で見学

世界最速のスーパーコンピューター「地球シミュレーター」を一般公開で見学

世界最速スパコン 地球シミュレーターの一般公開

JAMSTEC(海洋研究開発機構)の横浜研究所が一般公開。

JAMSTECは「しんかい6500」「ちきゅう」「地球シミュレーター」などで海洋について研究開発している機関。

今日は横浜研究所の一般公開に参加して世界最速のスーパーコンピューター「地球シミュレーター」を見学してきました。どんな形をしてどんなにスーパーなのか調査報告。

世界最速のスパコン「地球シミュレーター」

地球シミュレーターはかつて世界最速の演算能力を持ったスーパーコンピューター。

世界のスパコンランキング Top500 で2002年から2004年まで5回連続でトップの座に君臨した地球シミュレーター。

2022年の地球シミュレーターは4代目で NEC SX-Aurora-TSUBASA に換装された2022年も51位と健闘している。

ちなみにTOP500とは「2位じゃダメなんですか?」といわれたコンテストである。

地球シミュレーターを支える特別な技術

地球シミュレーターが100%の性能を発揮するためにはそれを支える特別な技術が必要。

宇宙船のようなフォルムの地球シミュレーター棟につまった免震構造・3重シールド処理・耐熱不燃化処理・空調など特別な技術を紹介。

免震構造・3重シールド処理・耐熱不燃化処理の地球シミュレーター棟

独立した避雷塔

スーパーコンピューターじゃなくてもやばい落雷。
雷が避雷塔に落ちても地球シミュレーター棟に影響が無いように地球シミュレーター棟からから避雷塔を独立させてスーパーコンピューターを守ります。

写真の建物から離れて所に建っている電信柱みたいなのが避雷塔です。

アルミメッキ鋼板による電磁シールド

外部から侵入が想定される電磁波は電動機・溶接機・工事器械・違法無線・レーザー・放送局・雷などがあります。

これらの電磁波を遮断するために地球シミュレーター棟の外板はアルミメッキ鋼板によって電磁シールドを張り巡らせて電磁波からスーパーコンピューターを守ります。

照明

地球シミュレーターがある部屋の外にランプを置いて、その光をチューブに送るライトガイドという方式。

照明の僅かなノイズからスーパーコンピュータを守っている。光がちょっと緑っぽい。

地球シミュレーターの部屋の特別な照明

床・壁・天井

フロア内の床・壁・天井に導電性材料を使用。

電気が通りやすくい素材にすることで静電気放電を遮断して静電気からスーパーコンピューターを守っている。さらに電磁波を遮断・吸収する効果もあるみたい。

※ 導電性材料 = 表面電気抵抗値が 107Ω以下の材料

免振装置

地球シミュレーター棟の地震対策。

鉄筋と同等の強度で重量は鉄筋の5分の1程度のアラミド繊維補強筋で補強され、地震の揺れを直接、建物に伝えない免震積層ゴム11個による絶縁と免振装置がつけられています。

リターンダクト

地球シミュレーターで熱くなった空気を屋根裏から空調機へ戻すためのダクト。空気が空調機で冷却されて循環ささせます。

地球シミュレーターに使われている特別な技術

地球シミュレーター

地球シミュレーターの写真がこちら。

見学通路から見ると熱気や計算しているカシャカシャ音、転送しているピコピコ音はもちろん聴こえない。(実際に音はしないようだ。)

青色の箱が地球シミュレーターで頭についているランプは、グリーン点灯が起動中、グリーン点滅だとデータ転送中。赤だと予期せぬエラーが発生中!

見学通路から見た地球シミュレーター

青色の箱 計算ノード(320ケース)

手前の青い箱が計算を実行するプロセッサなどの機器が入っている。1つのケースに2台分のスパコンが入っています。

緑色の箱 総合ネットワーク(65ケース)

プロセッサ同士でデータをやりとりするためのネットワークの箱

地球シミュレーターはこんな感じを想像してたけど、思っていたより地味だった!

地球シミュレーター室の抽選会

地球シミュレーターのコンピュータールームに入れる内部見学が開催されたけど全7回で各回12名の抽選。抽選場は人で埋め尽くされて恐ろしく高倍率

研究員が当たり番号を読み上げても当選者に拍手は皆無。
それどころか舌打ちが聞こえてきそうな殺伐した雰囲気。
結局4回チャレンジしたけど当たらず…。そりゃそうだ。当選者が少なすぎる…。

地球シミュレーターの中身

抽選にハズレたので地球シミュレーターの模型。

APモジュールは計算処理を行う地球シミュレーターの要。一筐体に16個のAPモジュールが搭載されている。

上下にある冷却部では計算機からでた熱を吸い上げます。
地球シミュレーター APUモジュール

地球シミュレーターはベクトル型

地球シミュレーターはベクトル型のプロセッサ

ベクトルプロセッサは配列データなどの多数の演算をひとつのベクトル命令で一括して演算を行います。

地球シミュレーターが計算している地球温暖化や地殻変動といった地球規模の大規模なシミュレーションの演算にはベクトル型が適している。

地球シミュレーターのNEX製ベクトルプロセッサ

ちなみに近年、世界最速のスーパーコンピューターはスカラー型が主流。

スカラー型は、ひとつのデータ演算をひとつの命令で処理する並列処理タイプで同時に複数のプロセッサを動作(=並列処理)させることで処理効率をあげている。日本が誇るスーパーコンピューター「京」「富岳」もスカラ型である。

1980年代は主流だったベクトル型も現在、製造しているのは世界でNEC1社だけになってしまった。
それでも地球シミュレーターをスカラー型にしないのは計算の規模が特別なため。

横浜研究所の社食

JAMSTEC 横浜研究所の社員食堂。
海洋研究の最先端の技術者たちが普段食べてているのはゴージャスなシーフード?

いいえ、カツカレーです。

地球シミュレーターのまとめ

地球シミュレーターの見学と言ってもガラス窓の向こうにたくさん並んでいる箱を見た感じ。

せっかく貴重な研究施設を見せてくれたのに「わー!なんかいっぱい盤があるね!」という小物な感想で申し訳ない。

だけど、おとなの社会見学の醍醐味である日常の舞台裏の「なんだかすごい」写真を撮れたことに大満足。

JAMSTECの施設一般公開

JAMSTECの施設・船舶を見学するチャンスは年に数回開催される施設一般公開です。過去に見学したときは5月と11月でした。

そのほかにも一般公開されることがあります。
JAMSTECには「よこすか」「ちきゅう」「しんかい6500」など数多くの研究船を使って海洋の調査・研究しています。全国あちこちの港に寄港したときに公開イベントが開催されることもあります。

過去には、地球深部探査船「ちきゅう」や潜水調査船「しんかい6500」が公開されて見学できました。チャンスがあれば参加してみてください。

過去に見学したJAMSTECの一般公開

  • 2008/02/10 ちきゅう/和歌山 新宮港
  • 2009/02/15 ちきゅう/神戸 六甲アイランド
  • 2009/05/17 しんかい2000 ラスト展示/横須賀
  • 2009/10/18 ちきゅう/和歌山 新宮港
  • 2010/03/06 ちきゅう/静岡 清水港
  • 2019/11/30 ちきゅう/静岡 清水港

 

// //