デザインがカッコイイ! 明治時代の金庫エンブレム
「林修のニッポンドリル」で度々、取り上げられる金庫。全国の近代建築を見に行くと古の金庫が展示されていることも珍しくありません。
外国から入ってきた洋式金庫を基にして明治初期、鍛冶屋を中心に国産の金庫屋が誕生しました。
明治当時の金庫は簡単に開かない鍵の機能はもちろん、最も重要だったことが、盗難されない重い重量と火事でも中身が燃えない防火性が大切でした。
無骨で強固な金庫が唯一、おしゃれをしているのがエンブレム。そんな金庫を飾るエンブレムを撮りためたコレクションを紹介します。
竹内製造のエンブレム
「林修のニッポンドリル」で鍵開け師 奥間 和弘さん(@kazuhiro_okuma)を苦しめる竹内金庫は、明治の初め鍛冶屋の竹内弥兵衛さんが製造販売を始めた日本最古の金庫メーカー です。
エンブレムには「竹内製造」と「東京市馬喰町」の刻印。東京市とは 1889年(明治22年)から1943年(昭和18年)まで実際に存在していた市。
竹内金庫のトレードマークは八咫烏(ヤタガラス)
イロハダイヤル
数字じゃなくてイロハニホヘトの23文字のダイヤルが特徴的。
旧森田銀行本店の金庫
このエンブレムは、福井県の旧森田銀行本店の金庫
山陰歴史館(旧米子市庁舎)
山陰歴史館(旧米子市庁舎)にあった金庫のエンブレム
こちらは Manufactured By Z.TAKEUCHI。創業者、竹内善次郎さんの名前入りで元々はこちらのプレートのようです。
ダイヤルは同じくイロハダイヤル
天皇?の文字が辛うじて読めますが他の文字は判りません…。
重厚な金庫、ハンドルは短くてダイヤルと近いところに配置されているタイプ。
號五第鐵鋼。
上部にあった鋼鉄第五号のネームプレート、竹内金庫バージョン5なのかも。
竹内金庫店の広告
明治19年の竹内金庫店の広告。東洋一の金庫!
小林金庫商会のエンブレム
東京市日本橋茅場町にあった金庫メーカー
エンブレムの刻印
商標
KOBAYASHI SAFE Co.
保険附
小林金庫商會
製造
小林金庫商会のエンブレムには朝日のダブルドラゴンの龍が描かれています。保険附の刻印が強固な金庫を物語っています。
ダイヤルは、アルファベット26文字、小林金庫商會 特製です。
この金庫は、明治村の川崎銀行本店にありました。
明治村の川崎銀行本店には、古い金庫が並んでいました。
山田金庫のエンブレム
山田金庫店(中北米吉)は京橋区銀座三丁目三番地に存在した金庫メーカー。
エンブレムの刻印
改良金庫第三號
工藝共進會 火災保険附 第二博覧會
賞牌 商標 賞牌
東京銀座三丁目山田製
中央には、山田金庫のトレードマークである鳳凰、さらにその横には工芸品共進会と第二博覧会で褒賞を授与した賞牌を掲げています。
メダルの刻印
明治十四年 東京 内國勧業博覧會 進歩
進歩のメダルは山田金庫が明治14年の内国勧業博覧会で進歩賞を受賞した証のデザイン。菊の紋章は国が認定していることの象徴です。
後藤金庫製造株式會社のエンブレム
東京府東京市京橋区松屋町に存在した金庫メーカー。
エンブレムの刻印
大日本東京 / 商標 / 後藤製造
小さめの金庫ですが菊の紋章のメダル付です。金庫の周りも装飾されています。
金庫の上部には、別製金庫火災保険附 八号のプレート
〇〇製金庫
旧第五十九銀行本店本館(青森銀行記念館)にあった金庫。大黒様がトレードマークのエンブレム。どこ製が読めません。
金庫商 大谷榮之介店のエンブレム
金庫商 大谷榮之介店(株式会社大谷金庫本店)のエンブレム。大阪の芝川ビルにあった金庫です。イケフェス大阪(生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪)の特別公開で見学したときに撮影しました。
エンブレムの刻印
東京 / 商標 / 大谷製
ブログ記事
堺筋の標準時間といえば生駒ビルヂングの時計塔。正確な時を刻んでる。|イケフェス2016
昭和金庫のエンブレム
銀座にあった金庫。昭和金庫と書いてあるので昭和時代の金庫だと思う。
エンブレムの刻印
昭和金庫 / 東京宮田製
MILNERS PATENTのエンブレム
旧香港上海銀行長崎支店にあった金庫は、耐火金庫の開発のパイオニア、イギリスのトーマス・ミルナーの金庫。
エンブレムの刻印
MILNERS PATENT / FIRE-RESISTING
THE MOSLER SAFEのプレート
カラコロ工房(旧日本銀行松江支店)の地下には米国オハイオ州ハミルトンにあったモスラー社の巨大金庫があります。モスラー社は、2001年に破産しています。
プレートの刻印
THE MOSLER SAFE CO / HAMILTON,OHIO.U.S.A.
カラコロでは地下の第1金庫室、第2金庫室の二つの金庫室がギャラリーになっています。
米国モスラー社
三井本館地下にある東洋一の大金庫。
1929(昭和4)年の竣工以来、現在も三井信託の貸し金庫として使われています。
プライベートサロンの中にあるので普段は見学できません。
大日本東京大倉製のプレート
北海道にあった大日本東京大倉製の金庫。
エンブレムの刻印
Okura Safe Compamy
TOKYO JAPAN
メカニカルで重厚な扉。
金庫のお洒落なエンブレム
日本全国にある近代建築を見学すると明治時代のモダンな金庫が飾られていることが少なくありません。そんな金庫につけられている飾り気のあるエンブレムから当時の想いを感じることができます。
テレビ番組でなかなか解錠できない明治の金庫。その扉についてるお洒落なエンブレムにも注目してみてください。
明治時代はワンメイク、同じものを大量生産できる現代とは違ってひとつひとつ表情の違うものを製造していた時代。そんなエンブレムのコレクションをこれからも集めて紹介します。