新型コロナを消毒できる!? 界面活性剤の効果検証がはじまった
先日、北里大学の研究グループが花王の洗剤で新型コロナウイルスを不活化※できるという報告があった。家にある食器洗剤、住居洗剤、洗濯洗剤で新型コロナウイルスを不活化できる注目の情報。
※ 不活化とは、ウイルスが死滅し感染性を失った状態のこと。
北里大学の製品評価ではサンプルを提供してくれた会社が花王だけだったけど、製品評価技術基盤機構(NITE)が界面活性剤8成分、次亜塩素酸水4成分、第4級アンモニウム塩1成分※の全12成分を選定して5月中旬までに評価をする計画を発表した。
※界面活性剤と同成分
NITEは新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価を行います。
この効果検証によって家庭にある洗剤で新型コロナウイルスの消毒効果が期待できる。
洗剤が品薄で割高な消毒液の代用になるかも!?
結果発表をすぐに知りたいひとはコチラ!(2020/5/22)
効果検証に使う界面活性剤の8成分
界面活性剤とは、石けんや台所用合成洗剤、住宅・家庭用合成洗剤に含まれる洗浄成分で多くの市販製品で使われている成分。界面活性剤の種類は陰イオン、非イオン、両性イオン、陽イオンがあってそれぞれ特性が異なるため効果検証はすべての種類で行なわれるようだ。
界面活性剤の成分 | 種類 | 商品例 |
---|---|---|
純石けん分(脂肪酸カリウム) | 陰イオン系 | |
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム | 陰イオン系 | ママレモン |
アルキルグリコシド | 非イオン系 | 除菌ジョイコンパクト |
脂肪酸アルカノールアミド | 非イオン系 | ウタマロ |
ポリオキシエチレンアルキルエーテル | 非イオン系 | チャーミー泡のチカラ手肌プレミアム |
アルキルベタイン | 両性イオン系 | ウタマロ |
アルキルアミンオキシド | 両性イオン系 | かんたんマイペット、チャーミーマジカ |
塩化ベンザルコニウム | 陽イオン系 | デオウ、メンソレータム リフレア |
新型コロナウイルスを不活化できた花王製品の界面活性剤
北里大学の研究グループが報告した新型コロナウイルスの不活化に効果のあった花王製品(抜粋)に含有されている界面活性剤の内訳がコチラ。
製品名 | 含有率 | 界面活性剤の名称 |
---|---|---|
かんたんマイペット | 0.2% | アルキルアミンオキシド |
トイレマジックリン | 5% | 脂肪酸アミドプロピルベタイン |
クイックルワイパー | – | アルキルアミンオキシド |
ビオレガード薬用泡ハンドソープ | – | イソプロピルメチルフェノール |
リセッシュ除菌EXプロテクトガード | – | 両性界面活性剤 |
アタックZERO | 56% | ヒドロキシアルカンスルホン酸塩、脂肪酸系(陰イオン) |

メーカー別の主な洗剤の界面活性剤の含有率と成分の一覧
主要メーカーの主な洗剤の界面活性剤の含有率と成分を一覧した。マーカーを引いてある名称はNITEが評価検証する成分なので評価検証が終わったときに新型コロナの不活化に効果があるか、製品裏面の成分表をよく見て欲しい。馴染みのない長ーいカタカナだけど間違えないようにジックリみて。
評価検証の結果報告は、まだ先なので慌てて買わないようにね。
メーカー | 製品 | 含有率 | 界面活性剤 |
---|---|---|---|
![]() | チャーミー泡のチカラ手肌プレミアム | 33% | アルキルアミンオキシド、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル |
![]() | チャーミーマジカ除菌プラス | 30% | アルキルアミンオキシド、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルスルホン酸ナトリウム |
![]() | ママレモン | 27% | 直鎖アルキルベンゼン系、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム |
![]() | ジョイバレンシアオレンジ | 32% | アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル |
![]() | ジョイミラクルクリーン泡スプレー | 14% | アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル |
![]() | 除菌ジョイコンパクト | 33% | アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルキルアミンオキシド、アルキルグリコシド、イソプロピルメチルフェノール |
![]() | キュキュット | 37% | ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム |
![]() | キュキュットCLEAR泡スプレー | 16% | アルキルグリコシド |
![]() | かんたんマイペット | 0.2% | アルキルアミンオキシド |
![]() | キュキュットクリア | 16% | アルキルヒドロキシスルホベタイン |
![]() | キュキュットクリア除菌 | 34% | アルキルヒドロキシスルホベタイン |
シャボン玉 | 台所用せっけん | 23% | 純石けん分(脂肪酸カリウム)、脂肪酸ナトリウム |
![]() | ウタマロ | 14% | アルキルベタイン、脂肪酸アルカノールアミド |
ヤシノミ | ヤシの実 | 16% | アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム |
まとめ
新型コロナウイルスは、SARSやインフルエンザウイルスと同じくエンベロープウイルスという膜のあるウイルス。SARSやインフルエンザウイルスの消毒に効果のあった界面活性剤を新型コロナに試して効果検証をするようだ。
界面活性剤のすべてが新型コロナウイルスを不活化させる効果あるのか、特定の界面活性剤だけなのがまだわからないのでNITEの評価検証の結果に注目。新しい情報がわかり次第、お知らせします。
ちなみに、SARのときは直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを16%以上含む界面活性剤が消毒効果があることがわかっている。
第1回の報告がありました。
新型コロナと同タイプのA型インフルエンザウイルスを使った報告