地球を吊りたい。寄神建設の最新鋭起重機船『洋翔』の一般公開

船舶の調査報告書

最新鋭起重機船『洋翔』の一般公開

寄神(よりがみ)建設の最新鋭起重機船『洋翔』の一般公開に行ってきた。

『洋翔』を惜しげもなく見せてくれた寄神建設は大型起重機船のパイオニア。
起重機船とは、大型橋梁架設工事や国内大型海洋プロジェクトなどで各種重量物のつり揚げを行う作業船。寄神建設は、国内最大の海翔という大型起重機船を所持していて港湾や橋梁架設などの建設に携わっている。海翔は東京ゲートブリッジ(東京臨海大橋)の建設でその活躍をみたことがある。

寄神建設がさまざまなアイデアを盛り込み建造した最新鋭の大型起重機船が『洋翔』
起重機船の一般公開はとてもレアでまたとないチャンスである。

門型形状の1ジブ形式で最大吊能力は1,000t×4フックで4,000t。ジブの断面は鋼板パネルボックス構造を採用している。その他の特徴としてはジブ・スライド格納式を採用している。あとで説明するぞ。

神戸港に横付けされた『洋翔』はデカ過ぎて写真に入りきらない。
ちなみに『洋翔』のスペックは全長120m・幅44m・深さ7mだ。

乗船して見て見上げると圧巻の門型形状のジブ(アーム)。
ジブは全長146mで4000tを支えちゃう凄い豪腕でジブの重量だけで1850tもあるそうだ。

ウインチ室

ウインチ室には、主巻ウインチが4台。
主巻ウインチの仕事は重量物を吊り上げることで能力は72tを1分間に20m巻き上げる。
なんで72tで1000tを吊れるかというと滑車20枚を使って掛かる力を1/20(50t)にしているから。そんな主巻ウインチが4台あるから4000tが持ち上がるってことなのだ。

操船ウインチ

このウインチの仕事は岸壁などに巻き付けたワイヤーを巻いたり緩めたりすることでデカイ起重機船を数センチレベルで操船できる。

揚錨機(ウインドラス)

船首に2台,船尾に1台あり30tのアンカーを海底に降ろして起重機船を固定する。

チェーンの長さは600m。現場の水深が深くてもだいじょぶ!
太いチェーンでがっちり固定してくれそうだ。

ジブ走行台車

『洋翔』の特徴であるジブ・スライド格納式のためのジブ走行台車。
ジブを格納して起重機船の高さを抑えることですることで橋をくぐれたり荒れた海でも移動できたりと優れたアドバンテージをもつ。

根元の丸いのはジブ根元ピンで直径0.6m、長さ3.5m。
意外と細い気がするんだけど巨大なジブを支える大切な要。

ジブを格納するステップ1、2、3、4を分かりやすく説明したパネル。
このようなパネルが至るところにあって見学者への親切さが伝わってくる。ありがとう寄神建設!

この黄色いレールに沿ってずりずりと走行するのだ。

フライングジブ

っといってみたけどコレがなんだかよく判らない
それにしてもすごいワイヤーの数。そして1本の無駄ワイヤーもないぞ。

フォトジェニック。

 

船首にあるフライングジブを固定するとこ。

走行台車を格納位置で固定するための装置。ガッチャンとはまるんだろうか?
奥にあるのはアンカーウインチ。

 

一般公開でみることができなかったが起伏ウインチというウインチもある。
起伏ウインチはジブを倒したり起こしたりするのが仕事だ。右舷と左舷に2台づつあって巻上能力は主巻ウインチと同じ72t。

このように『洋翔』はウインチだらけなのだ。
最新鋭の起重機船でも動かしてるのが意外とアナログ的でプロフェッショナルな技術が欠かせない。

たくさんある装置もこのパネルをみるとすべてが丸わかり。

 

ブリッジ

バックタワー脇の階段を登ると操船室や居住区が目前に。
1階と2階が居住区で食堂や風呂も完備。3階が操船室になっているようだ。

ブリッジには、4000t吊 安全最優先と堂々と書かれている。
危険な仕事なので安全最優先を掲げている。

補巻ウインチ

がずらりと並んでいる。主巻フックへワイヤーを掛ける手助けをしているみたい。補といっても15tの吊上げ能力があるぞ。従来これらのウインチは電動駆動だったが『洋翔』は油圧駆動にしたことで安定した動作が期待できる。これらのウインチはぜんぶで38台もあるそうだ。(37台?)

 

起重機船「洋翔」大きさの感覚がマヒしてくる巨大さ。
「凄いデカイ」連発の語彙力

質問コーナー

技術説明員の腕章をした見るからにプロフェッショナルな寄神建設スタッフを発見。
他の見学者は遠慮気味だったのでアレコレと質問してみた。

この起重機船の特徴はなんだ? 🤔
まずは門型をした1ジブ形式だ。あとはジブをスライドさせて格納できる。
ジブを格納することで高さ58mまで抑えられる。低くなることで橋梁の下を通れる。
操作は何人でしているのだ? 🤔
3人だ。
このお船は自分で動くのか? 🤔
動けない。実は浮いているだけなのだ。動くときは曳船に曳船してもらう。
作業時は操船ウインチでポイントを移動する。
免許は特殊免許なのか? 🤔
ただの移動式クレーン免許だ。5tでも4000tでも同じだ。
4000tのオペレータでもゴールド免許ではない。
4000tも吊り上げてなぜ倒れないのだ?🤔
4000tの錘をつけるから倒れない。
船下のバラストタンクに海水を入れて錘にするのだ。
初仕事は決まっているのか?🤔
ああ、この後、和歌山にケーソンの据付工事にいってくる。
後ろの三角のは飾りか?🤔
バックタワーだ。4000tを吊るための支店となる重要なポイントだ。
高いほど吊り上げに有利だがいろいろな要素を加味して55mにしてある。
では三角のてっぺんが一番力がかかるということか?🤔
そういうことだ。
ジブのところにハシゴみたいなのが見えるが?🤔
よく見てるな。メンテナンスの時にのぼるハシゴだ。
ちなみにジブの中にも梯子があるぞ。
何日間連続で作業できるのだ?🤔
60日間だ。
コックもいるから食事は充実している。
相部屋か?🤔
個室だ。
荒波でも移動できるのか?🤔
無理!
最近では3日先までの天気を予測できるからその間に航行する。
洋翔にはどのくらいのクルーが乗船するのだ?🤔
22名だ。(聞き間違えてるかも)
長距離の移動のときは特別な変形をするのか?🤔
いや。しない。

グレートジョブ!いくつもの質問を判りやすく教えてくれてありがとう。

寄神建設の技術力の高さを垣間みた。
技術的な質問は任せろ!的なスタッフがわかる技術説明員腕章制度はスバラシイ。
判らない人に質問しちゃうと聞いた方も聞かれたほうも困っちゃうことにならなくてすむ。
他の見学会も寄神建設を見習ってほしい。

バックタワー

下船して岸壁から見学。
さっき飾り呼ばわりしてしまったバックタワー55m。
2.5m×2.5mの鋼板パネルボックス構造だ。

居住区と操船室を真横から。結構な広さなのかもしれない。
ブルーの煙突にYSCの文字が映えてる。

フライングブームのトライアングルが半端なくカッコイイ。

フックにはすべて1000tとペイント。4つのフックで4000t !
フックの重量も60tあるぞ。なんか重さの感覚がよく判んなくなってきた。

『洋翔』越しに兄貴分の海翔(4100t吊)が見える。深田サルベージの起重機船もいる。

さらに反対の海にはまたしても寄神建設の違う起重機船が見えた。
ほんとに地球が吊れちゃうくらい起重機船が揃っている港。

 

10時オープンと同時にすべりこんで2時間じっくりと見せてもらって大満足。

操船室でどんなオペレーションをしてるのかいろんな話を聞きたかったけど関係者以外は入れなかった操作室を説明したパネルも無かったのが残念。

あれだけ人が見に入っていた割には操作室のことを書いてるブロクや写真の記事が殆どない。独りくらい写真載せてくれよー。

それとも洋翔のオペレーションルームには見せれない秘密があるのか気になるところ…。
また機会があれば、操作室も見せてほしい。

見学のノベルティーとして洋翔クリアファイル、カレンダー、ノートを頂いた。
なかでもクリアファイルが逸材!。クレーンファンは入手したいアイテムだろう。
起重機船の冊子があれば欲しかったんだけどなかった。

ともかくすごくて充実した起重機船『洋翔』一般公開だった。
スタッフは親切だし説明も丁寧で判りやすかった。主役の『洋翔』は申し分のないスケールでおとなの社会見学に相応しい一日。寄神建設の皆さんに感謝するとともにこれからの『洋翔』の活躍を期待したい。近場で作業のときには働く姿を見に行くからね!

以上で今回の調査報告を終了する。

// ピンタレスト