ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)「「ひゅうが」が一般公開で艦内大公開!
富山県高岡市で海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦(DDH)「「ひゅうが」が一般公開された。
ひゅうが(DDH-181)は、ヘリコプター搭載護衛艦で艦艇で過去最大にでかい艦。全長は197mもあってビルが丸ごと浮いてるような感じ。哨戒ヘリコプター(SH-60J、SH-60K)を搭載した最新の電子システムのヘリ空母を存分に調査してきた。
護衛艦「ひゅうが」は巨大すぎて遠目からでも存在感ありまくり。
ちょっと早めに公開場所の伏木富山港の万葉ふ頭にいってみると既に行列。開始時間まで護衛艦の周りをうろうろしてみる。
前方から見るとまるで空母。艦首と飛行甲板が一体化したエンクローズド・バウという波が荒れても艦首部に受ける衝撃に強い構造だ。
船尾にあるR2-D2みたいなのはファランクスCIWS。
艦艇を狙ってくるミサイルや航空機を至近距離で迎撃する艦載兵器。ひゅうがに装備されているのは不審船などの対水上射撃もできる最新鋭のMk15ブロック1B。
その下に見える2つの穴は対魚雷デコイの発射口。潜水艦から魚雷を撃たれたときに囮を発射して被弾を防ぐのだ。
船尾にある対潜魚雷3連装発射管(HOS-303)
三菱重工が製造してる最新型の97式短魚雷も発射できる。
格納庫の巨大エレベータ。通常は16tもあるヘリをリフトするだけあって見学者をまるごと甲板に連れていく。
すぐにビービーなりやがるスーパーのエレベータとは別格。
つーか、ここまでサービスしてくれちゃうなんてありがとう海上自衛隊!楽しすぎる。
上を見上げるとみるみる艦橋が近づいてきてあっという間に甲板に到着。実際にヘリを昇降させるのも1分くらいで完了するそうだぞ。
ウィーンって甲板にあげられてくるなんて気分はガンダムだ。
ほーら、甲板から見るとこんな感じだ。すげー。見てるのもおもしれー。
後部甲板にはもっとデカいエレベータがあってヘリコプターのローターを広げたまま昇降できるそうだ。ローターってのは羽根のことな。自衛隊のヘリは羽根をたたたんで省スペースに格納できる。
さーて。甲板を見学だ。BGMは、いきものがかり。
ヘリコプターが4機も離着艦できる広々とした甲板。3機が同時に離着艦できるぞ。甲板は特殊な舗装で秘密な感じ。今まで見たことのない舗装だった。
船首にあるCIWS。
防衛システムをくぐり抜けてきたミサイルを撃破するための最終防衛システム。フルオートマチックで動作する。マッハで飛んでくるミサイルをいちいち考えていたら間に合わない。ほんの数秒が勝負なのだ。カメラもあるから低速な標的にはマニュアルでも対応できる。
船尾には16セルのMk 41 VLS。
防空用の艦対空ミサイル、対潜水艦用に新アスロックが収容されている。巨大な艦の割には小さい?
飛び出る時はすげー事になるようだ
海上自衛隊の最新ヘリコプター SH-60K スーパーオーク
操縦するには原口1等海尉。パイロットの女性機長さんがヘリの案内をしてくれた。
機長さんは人気者で絶えず子ども達と写真を撮ったり質問に答えていたりと気さくな方でいろいろと教えてもらった。
子供達が近寄ってくると
機長「のる?」
子供「のらない」
機長「のってってよ〜」
っとまるで漫才。オレが乗りたい!
SH-60Kは電子化された最新のグラスコックピットで液晶モニタがずらりと並ぶハイテク感。若きパイロット曰く、最新のデジタルだからよい訳でもないみたい。
機長の肩のワッペンを写真撮らせてもらった。このヘリコプターは館山航空基地に所属の第21航空隊。
コールサインは "BLACK JACK"。なんでブラックジャックかというと第21航空隊だから。いいセンスだ。
ヘリの後部にある装置。これは飛行記録装置とフレア・チャフ。
フレア・チャフとは誘導ミサイル弾からまもる装置。フレアは閃光で赤外線誘導ミサイルに対して囮の役割を果たし、チャフは金属粉をまき散らしてレーダー誘導ミサイルに対して自動的に防御する。
SH60-J ホワイト・ホーク。こっちはアナログ感のあるコクピット。
陸上自衛隊の駒門駐屯地でみた車両は助手席ですら撮影禁止だったのに、海上自衛隊は新旧ヘリコプターのコックピットが見放題の撮り放題。なんつー懐の深さ。
「ひゅうが」でパントマイムといったら艦艇救難作業車の彼。
時に子どもを大泣きさせるほどシュールな動きが魅力的。艦艇救難作業車に乗り込んで記念写真もOKだった。
ブリッジには様々なレーダー。
白い四角のやつはフェーズドアレイレーダーでくるくる廻るレーダーより格段に高性能。
デカいの方がミサイルや航空機などを捜索して射撃指揮をするレーダー、小さいのは迎撃ミサイルを誘導する電波を照射する装置(イルミネーター)用だ。
ひゅうがのは00式射撃指揮装置といって360度からの攻撃に対応できるメイドインジャパンの艦載対空戦闘システム。艦橋の微妙な角度はステルス性を重視した構造になっているそうだ。艦橋後部のブリッジはヘリの航空管制所。
左側に入力する内容
右側に入力する内容
艦橋をよーくみるとノズルのようなものがついてる。これは放射能を帯びた塵を除去するための散水装置でもしも放射能や化学兵器で汚染されたときに護衛艦を洗浄する装置。海上自衛隊の艦艇には標準装備のようだ。
護衛艦でついつい探しちゃうのがネーム入りの浮き輪。
海上自衛隊員に質問をしてみた。
- ヘリコプター搭載護衛艦はすごいのか?
- ヘリに関しては抜群だ。
警察、消防など自衛隊以外のへリも着艦できる。もちろんドクターヘリもだ。
- それはすごいことなのか?
- 艦艇のヘリポートは洋上という安定しない上、狭いため訓練したパイロットしか着艦できない。ひゅうがの甲板を見れくれ。どうだ広いだろ? これなら特別に訓練していなくても着艦できる。
- そ災害派遣にも使われるのか?
- もちろんだ。ひゅうがには医療設備も整っている。
ただし「ドクターには来艦してもらわないといけない。
- 震災のときにもいったのか?
- もちろんだ。点検中で救援物資の積込みが遅れてしまった。すまない。
- ひゅうがは災害派遣に適した艦なのか?
- 陸路が寸断されていても海からのアプローチなら問題ない。ヘリを活用した強力な救援・支援が可能なのが当艦だ。
- CIWSは自動で運用しているのか?
- そうだ。マッハで飛んでくるミサイルを撃破するために完全に自動化されている。
- レーダー付きなのか?
- そうだ。CIWSは目標を捉え、追尾して射撃官制まで行う。わずかな時間で。
- 潜水艦も探しているのか?
- ヘリの機動力を活かした哨戒ができる。「ひゅうが」がガソリン・スタンドになることでヘリを効率的に使った哨戒が可能だ。
- なぜ哨戒に時間がかかるのか?
- 潜水艦は音を出さないように身を潜めるからだ。ひゅうががあることで怪しい海域で留まって見張ることができる。
- 哨戒ヘリは有効だということだな?
- ヘリは潜水艦に対して無敵だ。救援・救助も出来るマルチなヘリだ。期待してくれ。
- 「ひゅうが」には何人くらい乗っているのだ?
- 約360人だ。
- そんなに乗っているのか。居住はどこだ?
- エレベータに乗っただろ?あの脇とかだ。
- いつも「ひゅうが」にいるんですか?
- いいえ。いつもは館山にいる第21航空隊です。
- 女性パイロットはたくさんいますか?
- 3人です。機長は1人だけです。そのひとりはわたしなんです。
- 部隊のコールサインはなんでブラックジャックなんですか?
- 第21航空隊の21。だからブラックジャックですよ。
ひゅうがの一般公開では海上自衛隊の隊員みんなが親しみをもって迎えてくれた。サービス精神も旺盛で楽しんでほしい思いが伝わってきた。
自衛隊ってちょっと…マニア多そうだし…。って人も一度はいってみるといいかも!? 海自はマニアが少ないからまずは海上自衛隊の一般公開がおすすめだ。
航空機用昇降機(第1昇降機)
巨大エレベーターの正式名称は航空機用昇降機。今日はひとを特別に乗せてくれたのだ。どうもありがとう
巨大エレベーター、リフトアップ!