集合住宅「同潤会アパート」
同潤会とは関東大震災の復興支援で集合住宅「同潤会アパート」を建てた団体。
大正末期から昭和初期にかけて東京・横浜に16カ所に同潤会アパートを建設した。
青山アパートメント(現:表参道ヒルズ)、大塚女子アパートメント、三ノ輪アパートメントなどがそれにあたる。
同潤会アパートは、関東大震災の火災で住居が被害を受けた教訓から鉄筋コンクリート造の集合住宅で造られた。当時としては最先端の電気・都市ガス・水道・ダストシュート・水洗式便所、エレベーターなどの設備も備えられ羨望の住宅だった。
そんな同潤会アパートも老朽化により平成に入ってから続々と解体されていって残同潤会アパートは上野下アパートだけとなっていた。1929(昭和4)年に竣工して80年以上経った最後の同潤会上野下アパートもついに解体された。
昔撮った写真と解体前の写真を紹介
解体前に何度か写真を撮ってきたので紹介する。
3カ所ある入口にはスクラッチタイル張りの門柱に表札が掲げられていた。
この表札は解体前に3枚とも盗難されたようだ。
風格のある佇まい。4階がせり出しているのが珍しい。
竣工当時の姿をとどめていて非常に大切に維持管理されてきたアパート。
ちいさい井戸と物干竿。昔は大活躍したんだろうな。
階段はしっかりした造りでコンクリートの剥離などはない。
派手な装飾も特徴もないがなんだか懐かしい感じのする階段だ。
4階は中央に廊下があって両方に部屋がある。4階は独身者向け住戸になっていて小さめの部屋が並ぶ。今は使われていない感じだが共同トイレや洗面台もある。
屋上からは東京スカイツリーも見えた。
通りに面した1階は床屋、居酒屋、クリーニング店など店舗が入っている。
床屋さんは解体直前まで営業していた。
住んでいた住民のうちほとんどが建て替え後のマンションに入居するそうだ。
昭和の最先端マンションに住んでいた住民が平成の最先端マンションに住むもの感慨深い。