JAMSTEC横須賀 しんかい6500改の一般公開
毎年恒例のJAMSTEC横須賀の施設一般公開。
科学技術週間行事としてJAMSTEC横須賀で、深海探査機の実機展示や最先端の研究室の見学ツアーなど海洋科学技術をまるごと見学できる日。
今回は、主推進器などを改造した有人潜水調査船「しんかい6500改」が初お披露目。
しんかい6500改のどこが新しくなったのか見どころを調査報告します。
改修前のしんかい6500のブログ記事
JAMSTEC横須賀の施設一般公開
開場前の朝一に到着するとすでに入場待ちの列。
実際はこの写真の倍くらい並んでいてJAMSTEC横須賀への関心の高さが伺る。
誘導員に加えて、JAMSTECスタッフもプロ誘導員が顔負けの手際の良さで自ら誘導してくれてスムーズに入場。
しんかい6500改、初お披露目
まずお目当てのしんかい6500改。
さらに今年は、しんかい6500改と引退しているしんかい2000を同時公開。
しんかい2000は、映画『日本沈没』にも出演したタレント潜水艇。
2012年7月からは新江ノ島水族館で展示されることになっているから兄弟揃って並ぶ最後の姿。
2009年のJAMTEC施設公開ではしんかい2000のコクピットを見学してます。
写真を撮るなら朝一がおすすめ。
近くで群がるひとは少なくて、みんながちょっと離れたとこから全体像を撮影する暗黙の撮影会。いい感じでよく撮れました。
いまのところ改造ポイントはまったくワカリマセン。
しんかい6500改の船外装備
しんかい6500改には深海を調査するための特別な装備がくっ付いています。
- 投光器
太陽の光が届かない漆黒の深海を照らす全7灯のライト - 撮影カメラ
ハイビジョンカメラ2台とデジタルカメラ1台が深海の映像を記録に残します。 - マニピュレータ
耐圧殻内からパイロットが遠隔操作をするロボットハンドでサンプルを採取します。 - サンプルバスケット
マニピュレータで採取したサンプルをためるバスケットです。
有人潜水調査船「しんかい6500」の改造ポイント
「しんかい6500」の大きな改造ポイントが推進器(スラスタ)
4台だった推進器を6台に増強。
主推進器が大型1台から中型2台になったことで最大速力がアップ!
船体の後部にも水平方向の推進器も増設したことで回頭性能も向上しました。
6台の推進器をそれぞれ操作すると360°あらゆる方向への移動が可能。推進器の電動機もレスポンス向上型に換装して加速・制動性能もアップ!
主推進器
従来、旋回式大型1台だった主推進器を 固定式中型2台に改造して最大速力が 2.5ノット → 2.7ノットに向上。見た目もカッコよくなりました
後部に水平スラスタを増設
しんかい6500の後方に水平スラスタを増設したことで真横への移動が可能になりました。
さらに前部スラスタと後部スラスタを反対に回すことでその場でくるっと方向転換が可能。いままでは20mもかかっていた方向転換がその場で可能になりました。すげー!
その他の強化ポイントは、JAMSTECのプレスリリースに詳しく書いてあります。
しんかい6500のパイロットのマニピュレーター作業実演
海底6500mの第一線で働くパイロット。
唯一の女性のコパイロット、池田瞳 二等潜技士も登場!
しんかい6500のパイロットが深海で行っているマニピュレーター作業実演を見せてくれます。
しんかい6500に乗り込んだパイロットのふたりが笑顔で手を振ってる。みるからに狭そうだけど実際はさらに研究者1名が乗り込んで定員は3名。
マニピュレーターを窓から覗き込んでの操作。
女性パイロットは「新米パイロットの操作です!」とプレッシャーをかけられていたけど、スムーズにマニピュレーターを操ります。
マニピュレーターを操って「蓋を開ける→試料を採取→ふたを閉じる」と複雑な作業をあっという間にこなす新米オペレーター、グッドジョブ!
マニピュレーターはいつもなら海中での作業なので大丈夫だけど丘の上だとすぐに熱くなってオーバーヒートしちゃうみたい。
JAMTEC しんかい6500改のパイロット3人に質問
中のパイロットさんに質問
- しんかい6500改はどこがかわったのだ?
- 推進器だ。旋回式大型1台から固定式中型2台になった。あと後部スラスタが追加されたおかげでその場で360度回転できるようになった。
- 中型?ちいさくなってるぞ?
- 問題ない。速力、回頭性能など制動能力はアップしている。
- どこくらいまであかるい?
- 水質によるが200mまで明るいときもある。
- ゆれるのか?
- 着水の時が一番揺れる。潜水時は安定している。
- まだ質問してもいい?
- ちょっとマニピュレーター操縦してきます。
左のパイロットさんに質問
- あなたは操縦しているのか?
- はい。まだ一年くらいです。
- しんかい6500は無免許で運転できるのか?
- いいえ。一級船舶が必要です。
- 有視界運転なのか?
- そうです。ソナーも備わっていますけど。
- やばいとおもったことは?
- 特にありません。
- 中はひろいか?
- 広くはありません。三人で座り込む感じです。
- 改造してもらっていい感じか?
- はい。操作性など三菱にフィードバックしてより良くしています。
右のパイロットさんに質問
- めしは?
- もちろん持っていく。おにぎりかサンドウィッチだ。しんかい2000はデスクがあり弁当を持込んだとも聞いている。
- さむいか?
- ちょっとね。
- 深さによってバラストの重さはかわるのか?
- ほぼ同じだ。
- バラストとは、具体的にどんなのだ?
- 鉄の板だ。
- マニピュレーターがひっかかったりするとやばくないか?
- やばくない。根元から分離できる機構が備わっている。緊急時はは切り離しできるので安心だ。
しんかい6500のオペレーター・チーム
世界一深いところで仕事をする「しんかい6500」のオペレーター・チーム。
若干乗れなそうな体型の人も!?
しんかい2000としんかい6500の2ショット
「しんかい2000」と「しんかい6500」の貴重な2ショット!
どちらの潜水艇も大人気でJAMSTECのスタッフは大忙し。誇らしくも楽しそうに説明してくれました。
「しんかい2000」のリアビュー。いまでも潜れそうなほどキレイ!
新江ノ島水族館で常設展示されるのが楽しみです。
社食 親海亭でランチ
さてと。ランチの時間です。
開店前から行列のできる社員食堂「親海亭(しんかいてい)」で地球深部探査船「ちきゅう」のドライカレーと横浜名物サンマーメンをいただきました。
ちきゅうドライカレーがうまかった。マイルドな味にオニオンフライがアクセントになっています。
花毛布・飾り毛布のコーナー
花毛布・飾り毛布とは、毛布を折り紙のように折って、日本の伝統的な形・花・季節の風物詩などの飾り付けをした毛布のこと。
客船の寝室で提供されていたおもてなしのサービスでいろんな形で飾り付けていました。
花毛布はこんな感じで飾られます。
一枚の毛布が孔雀になってる!芸術作品です。
孔雀の隣にある兜は教えてもらいながら折り上げた渾身の作品です。
花毛布を飾り付けるには手間も時間もかかるために効率を重視する現在では残念ながら提供する場所がほとんどありません。
また、花毛布の作り方は先輩給仕の技術を見て覚えるスタイルだったことで折り方の技術そのもの失われつつあるそうです。ネットで探しても折り方は見つかりません。
富士山とバラの飾り毛布
- 飾り毛布 富士山
- 飾り毛布 バラ
しんかい6500改の一般公開まとめ
ほかにも沢山の見学するところがあり非常に充実している施設公開で人気なのもうなずけます。
スタンプラリーや実験に子どもは目を輝かせ、ラボツアーには学生が殺到。
オレは珍しいメカ達に釘付け。子供も大人も楽しめた社会見学。
ノベルティーグッツも充実した品揃え。
なによりJAMSTECのスタッフのおもてなしがスバラしかった。
あちこちにスタッフさんが配置されているから困ったときにすぐ聞けたし、とても親切で説明も判りやすくていうとこなし。
これだけの規模で満足できる施設公開もめずらしい。ありがとうJAMSTEC!
JAMSTECが気になったらタグクラウドの JAMSTEC に今までの調査報告書をまとめています。
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