源泉徴収票があっているかエクセルで計算
源泉徴収票とは、本年度の収入や税金などが記載されている票。
年末調整は会社が行ってくれるし、確定申告の必要がない人は気にしないことも多い源泉徴収。
数字ばかりの源泉徴収票は、経理課でも税理士でもFPでもない俺にとっては難解すぎる。
そんな源泉徴収税額をエクセルでぴったり計算。
それぞれの内容を知ると節税するポイントが判ってきました。
源泉徴収票の項目を知る
まずは源泉徴収票の項目について知っておきましょう。
能書きはいい、お急ぎのかたは 「源泉徴収税額があっているかエクセルで計算する」 へジャンプ!
❶ 支払金額とは?
すばり年収。
支払金額とは会社があなたに支払らったお金でこの金額が年収になります。
給料明細の1月から12月までの給与と賞与の支払金額を足すとこの支払金額と一致するはずです。
報奨金や旅費精算で浮いたお金は非課税で支払金額に含まれません。
❷ 給与所得控除後の金額とは?
支払われた金額(❶)から給与所得控除額を引いた金額です。
給与所得控除後の金額 =支払金額 - 給与所得控除額
給与所得控除額とは支払金額によって決まっていて、給料が少なくてボーナスが多いでもボーナスがない年俸制のひとでも支払金額が同じなら給与所得控除後の金額は同じになります。
国税庁が作成している「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表(PDF)」の速算表に記載されています。(グーグルで検索するとすぐにでてきます。)
給与所得控除額の計算式もあります。
例えば、支払金額が 500万円だと 500万 × 20% + 44万円 = 144万円となります。
給与所得控除後の金額をエクセルで計算させると
=5000000-5000000*0.2+440000
となりますが多少、誤差がでます。
計算式の税率と控除額は収入金額によって変わります。
あなたの年収に合わせて計算式を変えてください。
❸所得控除の額の合計金額とは?
所得から控除される金額で節税のポイントです。
所得控除の金額が多い=税金(所得税)が安くなります。
所得控除の額の合計金額は以下の4つの金額を足します。
❺ 社会保険料等の金額
❻ 生命保険料の控除額
❼ 地震保険料の控除額
+48万円(基礎控除)
基礎控除の48万円とはサラリーマンがみんな控除される額で経費みたいな金額。
❹ 源泉徴収税額
一年間で収めた所得税の金額。
給与・賞与明細の所得税を1月から12月まで合算すると同じ額になるはずです。
12月に年末調整で金額の補正が行われます。
源泉徴収税額が高いほど税金を多く払っていることになります。
❺ 社会保険料等の金額とは?
社会保険料等とは毎月の給与明細と賞与の保険料をぜーんぶ足すと社会保険料等の金額になります。
- 健康保険料
- 介護保険料
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
小規模企業共済等掛金控除で確定拠出年金のマッチング掛金になります。
マッチング掛金を毎月1万円しているひとは内が12万円になっているはずです。マッチングすると節税になるというのは社会保険料等で掛け金がまるまる控除されるからです。
❻ 生命保険料の控除額
生命保険料の合計額ではありません。
制度・支払った金額によって計算式、控除額の上限が変わります。
新制度の場合、
- 20,000円以下:支払保険料の全額
- 20,001円 〜40,000円:支払保険料x 1/2 + 1万円
- 40,001円超 〜 80,000円:支払保険料x 1/4 + 2万円
- 80,001円超 〜 40,000円:支払保険料一律 40,000円
❼地震保険料の控除額
地震保険料も控除額になります。
地震保険料または旧長期損害保険料の控除を受けることとなります。
地震保険料の場合、
- 50,000円以下 支払金額の全額
- 50,000円超 一律 50,000円
❽ 住宅借入金等特別控除の額
住宅ローン減税の額で年末残高の1%が控除されます。
ローン開始から10年間、返済期間が10年以上などの条件があります。住宅ローンの繰上げ返済をするときはタイミングを考えましょう。
源泉徴収票を見て判るのはここまでです。
次からエクセルで計算して源泉徴収票が正しい金額なのか実証してみます。
源泉徴収税額があっているかエクセルで計算する
源泉徴収税額は、国税庁によると…
「所得税額」から「所得税額から差し引かれる金額」を差し引いて、
「所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の所得税額」を求めます。
「所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の所得税額」が「基準所得税額」となり、
この「基準所得税額」に2.1%を乗じて「復興特別所得税額」を求めます。
「基準所得税額」に「復興特別所得税額」を加算した税額を納付しています。
何を言ってるかワカラナイ。
エクセルで順番に計算していきます。
課税所得額の合計を計算する。
課税所得額から所得税の税率と控除額がきまります。
給与所得控除後の金額から所得控除額の合計金額を引いた金額になります。
例えば、
❷給与所得控除後の金額 5,253,800円
❸所得控除額の合計金額 1,458,950円
だとすると課税所得額は、
❷ 5,253,800円 − ❸1,458,950円 = 3,794,850円
課税所得は 1000円未満の端数は切り捨てになるので 850円が切り捨てられて 3,794,000円になります。
エクセルで計算するとぴったりです。
=ROUNDDOWN(5253800-1458950,-3)
所得税額(基準所得税額)を計算する
所得税額の計算式は課税所得額×税率-控除額です。
課税所得額が 3,794,000円は 税率 20%、控除額 427,500円になります。
課税所得額 * 20% - 427,500円 = 331,300円が基準所得税額になります。
エクセルで計算するとぴったりです。
=379400 * 0.2 - 427500
住宅借入金等があるときは?
所得税額(基準所得税額)から❽ 住宅借入金等を引きます。
例えば、
❽ 住宅借入金等 が 78,500円
とすると、
331,300円 - 78,500円 = 252,800円
33.1万円が25.2万円になりました。これが住宅ローン減税です。
この金額に復興特別所得税額(2.1%)が足されます。
252,800円*0.021 = 5308円
100円未満の端数は切り捨てになるので。5308円 → 5300円
252,800円 + 5,300円=258,100円
エクセルで計算するとぴったりです。
=ROUNDDOWN(252800*0.021,-2)
誤差なし!
源泉徴収票の金額があっていることが検証できました。
まとめ
ひとつひとつ計算していくことで源泉徴収額がどのように求められていくかふんわりと理解できたと思います。
今年で住宅ローン減税の期間が終わったとすると、来年は源泉徴収税額が 25万円 → 33万円になります。8万円も納税額が増えて住宅ローンも支払うという状況になります。
節税としては、マッチング掛金は全額が控除額になります。
〈付録〉源泉徴収シミュレーター
エクセル源泉徴収票を作ってみました。
源泉徴収票の金額を入力すると計算が(たぶん)正しいことを確認できます。
そのほかには、
・給料が10,000円増えると支払う税金はどのくらい増える?
・住宅ローン控除が終わると税金はどのくらい増える?
・マッチング拠出すると税金はいくら減る?
などシミュレーションでリアルな金額で判るようになります。
入力してみると給料が1万円上がると税金が 800円高くなることが判ります。
給与所得控除額を計算で求めています。
400円ほど誤差りますので目安としてお使いください。