国際緊急援助隊の都市型捜索救助活動(USAR)
トルコ地震で日本から国際緊急援助隊が派遣されました。
多数の建物が倒壊したカフラマンマラシュの市街地では都市型捜索救助活動(Urban Search And Resuce)が行われています。
派遣された緊急援助隊がどのような機材でどのように捜索救助活動をしているのか、都市型捜索救助活動について調査報告します。
都市型捜索救助活動とは?
都市部で地震が発生した際は、建物の倒壊によって瓦礫の中に取り残された生存者の位置を特定・救助活動・応急活動します。
狭隘(きょうあい)空間での救助活動になるために、保有資機材で効率的に救助活動を行っていきます。
倒壊の危険のある建物の安定化、構造物の破壊・除去など高度な知識と技術が必要となります。
閉鎖空間からの救出・救助(CSR)
閉鎖空間へ隊員が進入し、要救助者を救出・救助する技術。医療班と連携した狭所空間から救出活動も行います。
ブリーチング
進入・退出路を確保するため壁・床などの鉄筋コンクリート等を破壊する技術。
エンジンカッター ・ガス溶断器 ・鉄筋切断用チェーンソーといった電動資機材やバール、ハンマーという力技でブリーチングをおこなう。
ショアリング
支柱等を用いて倒壊建物等を安定化させて二次倒壊を防ぐ技術。
クリビング
木材(クリブ)を井桁のように積み重ね、重量物等の荷重を受けることで安定化を図る技術
ロープレスキュー
高所・低所から要救助者を救出する技術
都市型捜索救助活動の資機材
緊急援助隊は、都市型捜索救助に必要なさまざまな資機材を扱って活動。捜索救助活動はファイバースコープの画像や音響探知機の音などを駆使して被災者を捜索します。
- 小型ビデオスコープ
- 伸縮式画像探索機
- 生存者捜索システム
- 画像探索機
- 地中音響探知機
被災地では、緊急援助隊の活動にも危険が伴います。測定器を使い隊員の安全を確保しながら捜索救助を行います。
- 地震警報器
- 可燃性ガス測定器
- 二酸化炭素探査装置
緊急援助隊 救助チームの警備犬
都市型捜索で活躍するのが警備犬(救助犬)。
トルコ地震でも緊急救助隊として警視庁からドイツ・シェパード(3頭)とラブラドールレトリバー(1頭)が緊急救助隊の一員としてハンドラーとペアで派遣されました。

出典:産経News
緊急援助隊の救助犬は警視庁の警備犬
緊急援助隊 救助チームの救助犬は、警視庁の保有する警備犬を救助犬として育成された犬です。
警視庁で活躍している犬=警察犬と呼んでいるイメージが強いですが「刑事部の警察犬」と「警備部の警備犬」の2つの犬がいます。
刑事部の警察犬と警備部の警備犬の任務と特徴について解説します。
刑事部の警察犬
刑事部に所属する警察犬は、事件現場で特定の臭いを辿って犯人を追跡して捜査活動を支援のが任務。特定の臭いを追跡するために鼻を下に向けて歩きます。
テレビドラマではよく鑑識課警察犬係と犬が犯人を追跡している姿をみますが一般に見かけることは少ないです。
警備部の警備犬の任務
「警備犬」は、現場を警備するのが任務で警視庁警備部警備第二課に所属するシェパードとラブラドールレトリバーで大きくふたつの任務があります。
ひとつは警備。
空港や駅などで爆発物・危険物を捜索したり、要人警護で有事の際は犯人を制圧するために警備します。
ふたつめは救助で地震や土砂崩れで倒壊した家屋や土砂から生存者を救助します。
警備犬の首輪の鈴
警備犬は、警備と救助のどちらも対応できるように訓練されています。
どちらの任務を行うのか警備犬に認識させるアイテムが「首輪の鈴」
災害救助活動では、警備犬に鈴のついた首輪をつけると災害救助犬にスイッチ。鼻を上に向けて広く人の臭いや気配を探し、瓦礫の下にいる生存者を探します。
首輪の鈴は、ハンドラーが救助犬の居所を知るためでもあります。
皮の首輪
警備犬の任務のときは皮の首輪です。
警備犬にとっては、皮の首輪=噛んでいいよ! らしいです。
警備犬はスゴイんです!
救助犬の特徴として、一般的に生存者にだけ反応するように訓練されています。
これは、嗅覚を活かし瓦礫の中に生存者を確認することで警備犬が生存者をみつけた反応があれば重機を使用しないで捜索をするためです。
テロ・災害の危険な現場にいつでも出動する警備犬は、首輪の違いで、警備と救助という真逆の任務を忠実に遂行します。
頼もしい!!!
もし、警備犬を見かけたら撫で撫でしてあげよう。もちろん首輪を確認してからね!